Step 01
すべては、保有者から始まる。
Cardano の統治に、任命された役職は存在しない。権限の出発点は ADA を保有している人だけである。ここは他のどのチェーンより徹底している。
ただし一人一票ではない。一 ADA 一票である。この一点が、以降のすべての挙動を決める。
Step 02
権利が、二つに割れる。
保有者は権利を分けて手放せる。ステークは SPO へ、投票権は DRep へ。どちらもコインは動かず、いつでも取り消せる。ロックもスラッシングもない。代表を固定しないこの形式は流動性民主主義と呼ばれ、Cardano はその最大級の実装のひとつである。ただし票はステーク加重で数えられる。流動的なのは委任であって、平等ではない。
三つ目の機関である憲法委員会は、保有者が直接選ぶのではなく投票を通じて選出される。性質の違う三者が、意図的に並べられている。
Step 03
三方向から、同じ議案へ。
あらゆる議案は、この三者を同時に通らなければならない。DRep はステーク加重で 67%、SPO は 51%、憲法委員会は過半——議案の種類ごとに定足数が違う。
誰も単独では通せず、誰でも単独で止められる。設計図としては、これは正しい。実際に、財団自身の提案がここで止まった。
Step 04
憲法は、門である。
通過した議案は、憲法の判定を受ける。ただし憲法委員会が見るのは合憲かどうかだけで、良い政策かどうかは判断しない。その権限を意図的に持たされていない。
憲法は「やってはいけないこと」の一覧である。「どう話し合うか」は、一行も書かれていない。
Step 05
通れば、金庫が開く。
トレジャリーはオンチェーンにあり、開発主体の管理下にない。引き出しには DRep のステーク加重で 2/3 が要る。
資金の出口が、開発する側ではなく投票する側にある。これは本物の達成であり、多くのチェーンがまだ持っていない。
Step 06
金は、外へ出ていく。
配分を実務として回すのが Catalyst であり、その先に提案者と受給者がいる。2020年以来、1.5億ドル超が 2,200 件へ流れた。
ここまでは、設計図どおりに動いている。問題は、この図にもう一本あるはずの線である。
Step 07 — 欠落
そして、戻ってこない。
右端の点線が、本来あるべき経路だ。受け取った側が成果を報告し、それが集計され、次の判断材料として保有者に戻る。この線が存在しない。6年間、一度も引かれなかった。
ループが閉じない系は、学習しない。良い提案と悪い提案を事後に区別できないため、次の選考は永久に改善しない。
そして左下の破線——配分を回している組織はひとつしかない。2026年、その一組織の移管だけで全体が停止した。投票は冗長化されていたが、運営は冗長化されていなかった。